現在見本誌のみが到着している中国・台湾の蝶蛾の図鑑を先行して紹介します。台湾から「台湾蝶類誌 Butterfly Fauna of Taiwan」の第1巻アゲハチョウ科と第2巻シロチョウ科が発刊されました。著者のひとり徐育峰さんは、これまで台湾蝴蝶図鑑や中国蝴蝶図鑑(4巻組)などを手掛け、日本でも何度も講演されている台湾の著名な蝶類研究者です。今回の図説で特筆すべき点は、英語での解説が付き、成虫標本写真と雌雄の交尾器と腹部のプレパラート写真が掲載されていることです。今後も第3巻以降が順次発刊される予定で、台湾行政院の出版物ということもあり、価格も一冊6,000円程度で販売できそうです。次は香港鱗翅目学会の出版物で「中国綫灰蝶
I Zephyrus Hairstreaks from China I」です。こちらは中国のゼフィルス62種の生態を卵・幼虫・蛹・成虫・生息環境を拡大写真中心に各種につき5-8ページ掲載しています。この図説の主編者のひとり庄海玲さんは、最近まで日本に留学していたこともあり、ゼフィルス関係の講演を聞かれた方も多いかと思います。この書籍は種の解説はほぼ無く、生態写真集に近いものです。最後に、同じ香港鱗翅目学会の出版物「梧桐山蛾類
Moths of the Mt. Wutongshan」で、香港に近い深セン市にある梧桐山国家森林公園で調査採集された蛾類の図説です。本書には成虫および交尾器の写真が掲載されているため、東南アジアの蛾類の簡単な同定にも利用できます。香港鱗翅目学会の出版物は18,000円〜20,000円程度の価格になる見込みです。最近は中国や台湾の若手の研究者が台頭してきており、あわせて素晴らしい図鑑も発行されるようになりました。図鑑のお値段も日本並であるものが多いのは、印刷部数がかなり少部数だからのようです。