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空前の小蛾類ブーム
（文：枝恵太郎）

2月初めに大阪で開催された日本蛾類学会研究発表会に参加しました。70名が入れる部屋に約80名の参加者が入り、東京で開催される規模とほぼ同じくらいの参加者があったことに驚きました。参加者を見渡すと30歳前後の若い方が半分を占めていることにも、感慨深いものがありました（学生の方は20名近く参加されていました）。さて、講演レジメ見るといわゆる「小蛾類」（キバガ、メイガ、ハマキガなど開張数ミリから1cm程度の蛾類）の演目が12題中5題、そういえば昨年の特別講演も「日本のハマキガ」だったことを思い出しました。懇親会もたいへん盛況で、やはり若い方の話題は小蛾類のことばかり。小蛾類はミクロレピドプテラ（Microlepidoptera）と呼ばれ、「ミクロ」または「ミクロレピ」と呼ばれています。それに対してヤママユガ、スズメガ、シャクガ、ヤガなどは大蛾類に分類され、同様に「マクロ」（Macrolepidoptera）と表現するのですが、いまや「ミクロ」は若者、「マクロ」は年配の研究者が多いような状況になっています。これは歴史的に「ミクロ」の研究が後発だからということもあるのですが、老眼が入ってくる人には数ミリの蛾の展翅ができないことも、この世代間の格差があるように思います。この六本脚ニュースにも掲載しましたが、新刊「環境動物昆虫学のすゝめ」でも、5題ある蛾類研究の章のうち4題が小蛾類についてです。「環境動物昆虫学」は新しい学問なのですが、小蛾類の研究がこの分野に含まれること、そして本書は入門書的な役割も担っているとされていることから、今後も「小蛾類の研究」が進むことでしょう。ちなみに私は「マクロ」の研究をしていて今年還暦を迎えるのですが、若い方が幕に飛来した「マクロ」を邪魔者扱いしているのを見ると、世の中の縮図が蛾類採集にも押し寄せていると考えてしまうのは、年寄りの僻みなのかもしれません（苦笑）。



左：2023年発行の「日本の小蛾類」
中：新刊「環境動物昆虫学のすゝめ」
右：昆虫と自然「特集・日本の腐食性小蛾類の多様性」2025年1月号
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