糞虫の研究に役立つ文献のご紹介

ある虫を本気でやってみようと思ったとき、文献への投資を惜しんではいけません。身近に
教えてくれる先生・先輩がいる場合、ややもするとすべての情報はその人に頼ってしまうもの
ですが、コピーや断片的な情報ではやがて膨大な量になり、よほど整理のうまい人でない限
りわけがわからなくなってしまいます。

私が糞虫をはじめた頃は、文献に明るい仲間がいなかったので、採集情報でも同定の情報
でも、文献を買う以外にありませんでした。ひどい時は月に10万位は文献を買い続けて採集
にも行けないくらいになりましたが、それでも採集地を気軽に聞ける人も教えてくれる人もい
なかったので、まず文献から揃えるのは仕方の無いことでした。糞虫の名前が出てくる同好
会誌は全部買っていましたが、いざ手元に届くと僅か1行のしょうもなき記録に2000円も3000
円も出して泣いたこともしばしばでした。背伸びをして外国の文献を買ったものの、フランス語
で結局今でも本棚に眠っているものも多くあります。

しかし文献を先に集めたことによって、今その有り難味が実感でき、重宝している部分も沢山
あります。日本産のカッコイイ種類や珍しい種類にしか興味がないという方は別ですが、とに
かくやってみたいが、どのような本を買ったら良いか判らないという方へ、思いついた範囲で
糞虫の文献を紹介いたします。すでに絶版になったものも含まれる一方で、これが必須文献
のすべてというわけではありません。抜け落ちも沢山ありますし、私が持っていないものもあ
ります。あくまで代表的、総合的で、かつ写真や図が豊富で楽しめるものをランダムに選んで
いると思って下さい。これらの入手については六本脚へご相談下さい。






Memorie Della Societa Entomologica Italiana  Volume 79
A revisional essay of world genus-group taxa of Aphodiinae (Coleoptera, Aphodiidae)

世界のマグソコガネ亜科の属のレビジョン
著者:G. Dellacasa, P. Bordat & M. Dellacasa
発行:2001年7月31日
内容:482頁、988図
大きさ:239mm×168mm×28mm、重さ1150g

価格:7,000円(税込・送料別)

世界のトップ研究者デラカサによるマグソコガネ亜科のレビジョン。マグソコガネ科Aphodiusの
多くの亜属を属に昇格するなどかなり大きな変更がなされていて、その賛否は
別にしても、コガネムシ関係の研究者必携の1冊。


 



Marek BUNALSKI著  『Die Blatthornkafer Mitteleuropas』
マレック・ブナルスキー著 『中央ヨーロッパのコガネムシ上科』


価格: 3,500円(税込・送料別)
ページ数: 80ページ(うちカラー13ページ)
大きさ: 228mm×167mm
厚み: 5mm

重量: 193g

スロバキアで1999年に出版されたコガネムシ上科の図鑑。中央ヨーロッパのクワ
ガタ、糞虫、カブトムシ、ハナムグリなど205種を網羅。分類群ごとに整然と並んだ解
説の後に、203点にも及ぶ♂交尾器の図が有難い。13プレートにも及ぶカラーページ
は、全205種をスケール入りで図示し、海外のこの手の本としてはきわめて美しい印
刷に仕上がっている。マグソコガネなどの小型種の写真も、ピント・明暗ともに良好。
ドイツ語なのは残念であるが、絵合わせと交尾器のみで、大まかな同定には事足
りると思われる。眺めているだけで楽しい1冊です。