トラップ採集(腐肉編)

 基本的に腐肉トラップは、糞トラップの糞を腐肉に換えるだけですから、掛け
る環境やマナーなどはトラップ採集(糞編)を参照いただき、ここでは腐肉の種
類や注意点を書いてみましょう。

1.腐肉の王様”鶏がら”
 好みでしょうが、私は何と言っても鶏がらが好きです。まず安いことと、骨が
付いていること、臭いが強烈(まあどれも似たり寄ったりですが)なことです。ミ
ツノエンマ、ツヤエンマ、トガリエンマなどの腐肉系の糞虫は、問題なく集まり
ます。

2.魚類
 魚類は種類が多いので一口には言えませんが、私はイワシを愛用していま
す。理由は腐り易いこと、大きさが適当なことなどでしょうか。価格だけで選ぶ
こともありますが、いくら安くても切り身や内臓の少ない小さな魚はあまり良くあ
りません。最も経済的なのは、行き着けの鮨屋や料理屋でさばいた魚の頭な
どを取っておいてもらうことです。しかし、すごい臭いになるので、取扱には要
注意です。また、家庭で魚をさばく人は、落した頭などを冷凍しておくと良いで
しょう。

3.甲殻類
 エビやカニは、かなり良い(悪い?)臭いを出すのでトラップには最適です。魚
類とブレンドしても良いでしょう。ただ、スーパーで正規品を買うのは高くてもっ
たいないので、家庭で剥いたエビの頭などを冷凍しておくと良いでしょう。この
時便利なのは空ペットボトルで、臭いも遮断されますし、そのまま現場へ持っ
ていけます。空けるのがちょっと面倒ですが…。

4.その他
 上記以外では、ドッグフードというのを聞いたことがあるのと、腐肉コーナー
に入れるかその他コーナーに入れるか迷いましたが、チーズ、菌類、薬品、腐
植物のトラップなどもあります。ドッグフードはもちろん乾燥タイプではなく、肉の
入った練りタイプ。利点としては空けるまでは常温でもつことでしょう。そういう
点では、肉系や魚系のカンヅメで良いものもあるのではないでしょうか?チーズ
は匂いのきついものが良く、日本て加工したものは日本人の口に合うように作
っているので、できれば奮発して輸入物の強烈な奴が良いようです。菌類、薬
品、フェロモンなどは一般人には手に入りにくいので、是非研究職の方々に開
発とテストをお願いしたいものです。

5.防護法
 糞トラップと違うのは、掛けた後の防護が必要な点です。糞もたまに動物に食
べられたり、動物が自分の縄張りなので排除したりしますが、フレッシュな鶏がら
などは間違い無く野犬などに持っていかれます。かなり腐っていても、死体丸ごと
でも、犬などは持っていってしまいますし、原因はどうあれ回収に行ってトラップが
ないことほど、がっかりするものはありませんよね。そこで、最も簡単な防護法とし
ては、ネットを用いることです。魚を焼く金網、針金を編んだ亀甲の網、ナイロンの
頑丈な網などを使って、ベイトを埋めるか包むかして、それごと地面か近くの木な
どに固定すれば良いのです。また有刺鉄線で巻いたり、ネズミ採りや鳥かごを使う
人もいます。ようは網状になっている囲いを作るだけなのです。固定には、私はテ
ント用のペグを愛用していますが、オーソドックスな方法として、石を乗せるだけと
いうのもあります。ヒモで近くの木に結ぶ方法もあります。
 その他、ベイトに唐辛子をまぜるという手法があり、これはなかなか効果的です。

ただ、上記の方法と組み合わせて初めて効果がでるもので、唐辛子をかけただ
けでは、食べられはしないものの、いたずらはされてしまうでしょう。

腐肉は、糞に来ない珍種が集まるため、地域調査などでは必須種目です。
積極的に仕掛けましょう!