糞採集(牧場編)
牧場は主に牛が多いですが、それ以外では馬、ヤギ、羊などが糞虫採集にはもっ
てこいです。また牛にも食肉牛や乳牛と種類があり、それぞれに牛の品種があっ
たりしますが、来る虫が牛の品種によって異なることはありません。もし異なったら、
それは牧場のある環境や牛の食べている食物や飲まされている薬の影響です。な
ので、採集には技術は必要ありませんから、ここではちょっとしたコツに加えてエ
チケットを書いておきます。昨今牧場でのトラブルをいくつか聞いてますので、少
なくともこれを読んだ皆さんは、そのようなことのないよう心がけて下さいね。
1.ひたすら糞を見る、それがコツです!
当たり前ですが、ひたすら糞を見ます。牧場は広大なので、これはできるよ
うでなかなかできないのです。最初はどんな場所が良いか、どんな糞が良い
かが分からないもの。目的の虫がろくに採れないうちに日が暮れてきます。
足が棒になってきます。気ばかり焦るのですが、牛は呑気に鳴いている。で
も、諦めてはいけません。それを乗り越えて体得しないと、糞虫採り名人には
なれないのです。
2.糞虫の好む糞の状態を心得る
ひたすら糞をひっくり返していると、やがて虫が全然いない糞と沢山いる糞の
違いが分かってきます。まず表面が湿っている新しい糞にはまだハエくらいし
かいないのが分かります。逆に古くてカラカラの糞の下には、ミミズしかいませ
ん。古くてカビの生えたのもダメです。で、表面は乾いているけど、中があんこ
状態の、いわば半乾きのものが良いことに気づくことでしょう。排泄されてから、
天気にもよりますが、2〜4日くらいが一番多くの種類が寄ってくるようです。
3.場所を見抜く
牧場は一見同じに見えますが、虫にとってはかなり違く見えるようです。大きく
見渡せば、尾根になっている部分と谷になっている部分があり、ダイコクコガネ
などは尾根を好みます。多分、近くの河川が氾濫しても育児室が水害に遭わない
とか、微妙な湿度のバランスが理由なのでしょう。森の中の牧場では、林に近い
場所と広場の真ん中で、密度や種類が違うこともあります。
4.土壌を見抜く
一番重要なのは、糞の下の状態です。ダイコクやエンマコガネの多くの種類は、
土に穴を掘るためあまり草丈の長い場所に落ちた糞には寄ってきません。むしろ
草のない裸地上の糞を好み、また採集する側もその方が掘り易いので好都合です。
しかし、裸地ばかりでも土壌が乾燥してだめなので、人間の頭に例えれば「五分刈
りで十円ハゲがポツポツとある悲惨な状態」が、ダイコクコガネなどには最適です。
また、海岸近くに住む珍しい糞虫で、砂地を好む仲間がいます。一見普通の牧場
でも、これらの種類は確実に砂の上の糞を選択します。多分水はけなどが関係して
くるのでしょう。
5.マナーを守ろう
牧場の多くは私有地です。国営牧場だからと言って、入って良いわけでもありま
せん。入る時は必ず断りましょう。どうしても管理小屋が見つからない場合は仕方
ないのかもしれませんが、以下のルールは守って下さい。まず、牧場主が一番心
配するのは伝染病です。人間は沢山の菌や病気や微生物を持っていて、人間に
は無害でも家畜には有害なものがありますから、ます家畜には近づかないことで
す。飲み水で手を洗ったりするのも良くないです。それから、もし穴を掘ったら必ず
埋めましょう。ダイコク掘りは時に直径50cmくらいの穴を掘りますが、それをそのま
まにしていく人がいて、そこに子牛がつまずくといったことがあるそうです。第一あち
こち掘り返したら、見栄えも良いはずがありません。その他、当り前のことですが、
それができない人がいるからこそ、トラブルがおきるのです。柵を壊されて牛が逃
げたとか、弁当のゴミを牛が草と一緒に食べて喉を詰まらせたとか、勝手に電気
柵の電源を落したとか…とにかく礼儀正しく行きましょう。こちらがちゃんとすれば、
相手もちゃんと応えてくれるはずです。ただし、競走馬の牧場だけは止めておきま
しょう。1頭数億円の馬じゃ、断られても無理はないですよね!