春の八重山糞虫紀行  石垣編
      
 (2000年4月12日〜16日)

 与那国を後にして石垣に舞い戻った私は、早速レンタカーを
借りて オモトを目指した。今回はいつも借りているレンタカー屋
をやめて、インターネットで予約できるJレンタカーで軽を借りた
ので、思い の他安く上がった。参考までにホームページを紹介し
ておきましょう(Jレンタカー)。

4月12日(水)樹冠の宝石、オオヒゲブトの乱舞
 オモトに入る前に、恒例のご挨拶のため地元の虫屋のボスH氏を訪ねると、まる
でこちらの心を読んだように「オオヒゲブト、いいよ!」と言って、机 の上で整理中の
信号の色のような虫を見せられた。今年は春の天候不順で、例年なら3月下旬に開
花するヤンバルアワブキの花が2週間近く遅れていたので、この幸運が舞い込んだ
のであった。しかも偶数年で 当り年だ。糞虫なんか採ってる場合じゃない。 運良く
H氏も時間があったようで
採集に付き合って頂けるこ
とになった。ラッキー!登山
口に行く手前の道沿いの木
で早速数頭GET。随分簡単
に採れるんだなぁ、なんて思
いながらも有名な御神木へ
と進む。今年は御神木は花
をつけていないが、周辺の
木は少し盛りを過ぎた頃か。
午後から曇ったものの、一度
飛来したら逃げないらしく、ま
たうす曇りでも気温が高ければ飛んでくる。すでに先客が1人おり、後で話したら友人の
友人である福岡の甲虫屋のS氏であった。H氏 は、例の恐ろしい高木を何本もするする
と登ってくれて、掬ったネット を渡してくれるという作業をしばらく続け、私の毒ビンはみ
るみるカラフルなメタリックの輝きに満ち溢れた。私もその間、9m竿プラス60cmの ウル
トラフレームという最強の装備で届く範囲を掬う。これでも十数頭は採ることができた。
一掬い終わると、アカマダラセンチでも採りに行こうかということになり、上のドラム缶ポ
イントまで行くが、気温低く他の虫も飛んでないので下山。オオツヤエンマ狙いのナイ
ターの予定だったが、気温が低いので宿でのナイターに切り替えた。宿は海岸沿いに
あるため、夥しい数のヒメセスジカクマグソと少数のセスジカクマグソ及びオオニセツツ
マグソが飛来し、石垣初日の夜は更けて行くのであった。

4月13日(木)ケシマグソ2種を採る
 朝一番で海岸の林縁にアカマダラエンマ狙いのマイトラップをかける。2時間ほどの
篩い採集で、サキシマケシマグソとスジケシマグソをそこそこ採集。帰る時にマイトラ
ップを見ると、もうアカマダラエンマ が十数頭来ていた。午後はもちろんオモトへ行き
木に登る。木登りは 別に苦手ではない
が、体重が結構あるので釘が抜けな
いか心配だ。最初の5mくらいは枝なし
なので、釘だけに全体重がかかる。途
中で抜けたら、 と思うと冷や汗が出てき
た。それでも樹冠に出れば、そこは別世
界だ。 赤、青、黄、緑などのオオヒゲブト、
多数のコアオハナムグリや時折姿 を見せ
るマスダクスベニカミキリなどにしばし酔
いしれる。何て素晴ら しい光景なんだろ
う。でも木から降りた後一時間くらい足が
ガクガクして止まらなかった。夕方は気
温があまりないが無風状態だったので、
オオツヤエンマを狙って オモトの中腹に幕を張る。5時半から点灯、6時半くらいからかな
り暗く なったと同時に、ケブカアカチャコガネやニイジマスジコガネが沢山飛来 したが、
肝心のオオツヤエンマはとうとう得られなかった。

4月14日(金)低空飛行物体の正体
 午前中は屋良部岳でマンマルコガネを狙う。マルバネやネブトのフレーク狙いなので
楽勝だと思っていたが、なかなか良い木が見つからない。しばらくして、やっと理想的
なフレークを見つけたが、成虫2頭と幼虫 10頭くらいしか出なかった。本当に何かの種
のような虫だ。別の木から マルバネの超特大の幼虫が出た。フ
レークとともに回収していると携帯が鳴り、与那国からH氏が戻
ってきた。早速合流してオモトへ向う。天気は生憎下り坂だが、
少しだけ花についていたオオヒゲブトをH氏に採ってもらい、その
後H氏は中腹でナイターを決行。気合が入っていらっしゃる。私は
とても迷ったが、風が強いので麓でセンチでも狙うことにする。一
緒だった福岡のS氏も先に帰ったので、一人でオモト林道のセン
チのポイントへ向った。座って視線を低くして地面を凝視していた
ら、しばらくして低くハエのよう に飛ぶ物体が!!…いた、キボシ
じゃ…とばかりダッシュして慎重にネットイン。果たして、ネットの
下で仰向きになってもがいていたのは、イシガキ アカマダラセン
チであった。この晩、合流したH氏とお互いの成果を祝って、 オリオンビールと泡盛”八
重泉”の宴は、沖縄の夜風にのっていつまでも 続くのであった。

4月15日(土)暴風雨
 朝からH氏、S氏と3人で篩い採集をする。各自目的のケシマグソ2種が採れ、 満足
の様子。ただし、昨夜の雨で砂が重く、かつ虫は深く潜っているようで 効率はエラく悪
い。もう少し天候が回復してからにしようということになり、今度は屋良部岳へ案内し、
マンマルコ
ガネを採る。
なんか、島
のガイドみた
いになってき
た。正露丸の
ようなマンマ
ルも各自得
ることがで
き安泰。昨
日のマイト
ラップでア
カダルマコ
ガネを採集。
で、遅めの
昼食を食べ
ていると、いよいよ強風に混じって雨が本降りになってきた。相談の結果、宿に戻るこ とに
して、S氏も遊びに来て虫の整理。その日は結局台風のような暴風雨が夜半まで続き、再
度車のエンジンがかかることはなかった。


4月16日(日) また来年!?
 最終日。天気は回復してきているが、依然風が強い。午前中は篩いやマイ トラップ回
収。S氏がバンナの燈火にオオニセツツマグソが沢山飛来してい たと言っていたのを思
い出し、沢山いたなら少しは近くに隠れているはずと考え探しに行く。幸い自動販売機の
下に砂の吹きだまりがあり、その中に15頭も潜んでおった。思わぬ収穫であった。午後
は最後のオモト登山で、 腐肉と油粕の回収で得たのは普通種ばかり。下山して車を整
理し、荷物をパッキングし空港に向う。とうとう帰る時がきてしまった。来年は別の島へ
行こうと何度思ったか分からないが、気がつくといつもこの島にいた。きっと来年もそうな
のかもしれないと、心地よい疲労で薄れ行く意識の中、ボーっと外を眺めながら考えてい
た。飛行機の窓越しに見える夕闇に包まれたオモト岳は、あたかも丁度センチ類が飛ん
でいる頃に思えてならなかった。
 今回の遠征には実に多数の方にお世話になった。一部同行頂いた我が糞虫の師匠の
群馬のH氏、糞虫仲間の札幌のH氏、O氏、石垣在住のH氏には毎回お世話になっていま
す。快く招いてくれた与那国在住のM氏、与那国で楽しい一時を共にしたS氏、T氏、そし
て有意義な情報を提供してくれた東京のF氏、K親子、愛知のK氏・・・有難うございました!
また来年も来たいと思います。(完)