春の八重山糞虫紀行
与那国編
(2000年4月8日〜12日)
昨年、トビイロエンマ1♀と惨敗をくら
った私は、帰りの飛行機の中で既に来
年の計画を練っていた。この虫のワッペ
ンを作ったり、自宅の表札のワンポイン
トにするなど、この1年の熱愛ぶりはか
なりのものがあった。かつてこんなに熱く
なった虫は、クモマツマキチョウとマルバ
ネクワガタくらいかな。そして今年も懲りない糞バカ日誌が始まるのであった。
4月8日(土)いよいよ出発
6:30羽田発石垣行き直行便は定刻より20分近く遅れたため、待機していた
与那国行きまで駐機場を走らされ、席に座ったと同時に飛行機は動き始めた。
それでも11時過ぎには与那国の宿で荷を解き、昼食をかきこんでバイク
を借
り、まずは宇良部岳でマイトラップを
仕掛けた。天気は薄日が射してい
る。気温も暑くはないがそこそこ。イ
ランダ林道へ回ると、運良く芝生の
上で人糞と犬糞を発見。すぐに裸地
に移動したところ、1時間もしないうち
に
念願のトビイロエンマ(当HPのこ
だわりグッズのワッペンのモデル)が
飛来した。こいつはまったく日本の虫じゃないみたいだ。♂でしかもでか
い!
これは行けるか、と思ったのも束の間、空はどんよりと曇り、以後追加は無か
った。その晩オリオンビールと泡盛”どなん”で乾杯したのは言うまでもない。
4月9日(日)ケシマグソはいるか?
天気は曇りで気温も低いが、昼前後に薄日が射し、トビイロエンマを1ペア
追加。これでなんとか気持ちは落ち着いた。カニ腐肉トラップを設置。比川林
道の牧場で牛糞チェック。その後比
川浜で篩い。昨年とは違った観点
で内陸側を篩ったがやはりNG。こ
の島にケシマグソはいるのか?ど
なたかトライしてみませんか。
余談ではあるが、現地で会った
蝶屋のS氏によれば、与那国は昨
年末から3月3日まで晴れ間が
1日
もなく、3月4日に晴れ上がり、沢山
の虫が湧き出てホリシャルリシジミ
も11頭が得ら
れたとか。その後も
天気は悪く、また冬に襲った寒波
で気温が7℃まで下がったとか、と
にかく異常気象とのことでした。
4月10日(月)ヨナグニサンの乱舞
東崎の牧場で牛糞をチェック、別の場所でヤギの糞もチェック、未確認種を
探す。不思議だったのは、昨年4月下旬に沢山いたウスチャマグソが1頭もい
なかったこと。僅かな時期の差か、冬の寒波で絶滅したか。天気悪くトビイ
ロエンマ1♀のみ。でも採れないよりはまし。その晩風が南風に変り、急に
蒸してきたので満田原へ行くと、ヨナグニサンの乱舞に出会った。10頭以上
が乱れ飛び、ダイナミックな夜であった。ヒメセスジカクマグソを数頭拾う。
これから他の甲虫も拾おうと思った時、雨が降ってきた。天気ばかりはうま
く行かないものだ。
4月11日(火)ヨナグニサンの羽化
朝、満田原へ再度行ってみると、昨夜飛来したヨナグニサンがまだそこか
しこに残っている。芝生の上で生き絶えたものもいれば、燈火にぶらさがっ
ているものも。元気なやつは指で触ると、バタバタとモスラのような羽をはば
たかせて飛んでいった。
よく近くの林を観察すれ
ば、いるわいるわ、昨夜
の暑さで羽化したような
個体が沢山観察できた。
こんなにいるものなんだぁ、
と思ったが地元の方によ
ると今年は特別に多いと
のこと。この日は
昨夜と
打って変わって北風とな
り、薄日は長く射していた
ものの、肌寒く
肝心の糞
虫の方は貧果に終った。
夜、オキナワマルバネ
のギネス(70mm)を採って一躍時の人となったM氏を訪ね、ギネスオキマルを拝ませ
てもらった。目に焼き付いて離れない。依頼されていて採れなかったスジナシヒョウ
タンゴミも拝むことができた。
4月12日(水)石垣へ
今日は石垣に移動する日。朝一番で最後の見回りに行くが、昼光性のトビ
イロエンマ
の追加はなかった。空港で入れ替わりに入ってきたH氏に後を託し、
「石垣は晴れてるよ」というH氏の言葉に胸を躍らせながら、与那国を後にした
のであった(石垣編に続く)。