Jaroslav Mares
A monograph of the genus MANTICORA
Manticora属のモノグラフ

208頁フルカラー、重量2.1kg
サイズ 23,6 x 31,6 x 2,5cm
価格: 60,000円(税込66,000円)

ナミビアのカミキリ、アフリカのハンミョウに次ぐ、TAITA出版の第3弾が、いよいよ登場しました。
エンマハンミョウManticora属のモノグラフです。13種全種、各産地、個体の大小はもちろん、す
べてのタイプ標本を含めて、500点を超える写真でエンマハンミョウを紹介。合わせて、多くの生
態写真や分布図も備えた、完全・完璧なモノグラフです。新種記載もなされています。芦田久氏
による下記書評も是非ご一読下さい。


 

圧巻の一言に尽きる!
一冊全てManticora〜エンマハンミョウ〜のモノグラフが
チェコのTaita Publisherから出版された


マンティコラはアフリカ中〜南部に生息する、世界で最も大型のハンミョウの一属である。古くは
阪口浩平の「世界の昆虫」に2種類が紹介され、ハンミョウコレクターにとって垂涎の的であった。
黒くずんぐりした体や、ある種の雄に特徴的な左右非対称に長く伸びたマンディブルは、ハンミョウ
愛好家のみならずクワガタムシ愛好家にも食指を動かされる人も多いだろう。以前は標本を見る
ことさえ稀であったが、最近では一部の種類は比較的容易に手に入るようになった。さらには、クワ
ガタムシやカブトムシの生き虫の輸入規制緩和に乗って、マンティコラの生きた個体さえ輸入され
ているという。

しかしながら、マンティコラの分類体系はこれまで確立しているとはいえなかった。多くのシノニムや
種の混同がみられ、いったい何種いるのか、どの学名がどの種に対応するのか不明な点が多かっ
た。Wiesner(1992)の「世界のハンミョウのチェックリスト」では8種が、Werner(1999)の「アフリカのハ
ンミョウ」(Taita Publisher)では10種がリストアップされているが、本書の著者は全ての種のタイプ標
本を検討のうえ、マンティコラ属を13種(うち本書で新種記載された1種を含む)に整理した。各種の
タイプ標本を含む、雌雄の多くの標本が鮮明な写真で図示され、種内の変異も一目瞭然である。ま
た、写真のついたわかりやすい検索表も付されたので、雌雄とも容易に同定ができる。私の標本箱
の種類も同定ラベルを改める必要がでてきた。

本書のすごさそれだけではない。各種の生息環境の写真、生態写真が豊富で、アフリカの大地を
闊歩するマンティコラの姿が手に取るようである。ほかにも、著名なハンミョウ研究家や探検家の
肖像画、写真もあり、読者にはたまらない。マンティコラの研究史や、マンティコラにまつわるアフリ
カの伝説についてもページを割いている。

最後に、レイアウトの美しさも挙げなければならないだろう。これはエディターのセンスによるところが
大きいが、Taita Publisherの出版物はどれも美しく高級感にあふれている。本書も例外ではない。

昆虫関係の洋書には、値段が高い割に情報量やカラー図版が少なく、がっかりさせられることも多
いが、本書に限ってそういうことはない。今回、昆虫文献六本脚さんのご努力で、たいへんリーズナ
ブルな価格で販売されることになった。ぜひともご購入をお勧めしたい。

(芦田 久:大阪府茨木市)