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珠玉の昆虫標本
江戸から平成の昆虫研究を支えた東京大学秘蔵コレクション
矢後勝也 編著・須田真一・山崎剛史 著, 2018.
A4, 166pp., フルカラー., 価格:3,200円(税込3,520円)







東京大学総合研究博物館に収蔵されている膨大な昆虫標本を公開した特別展図録です。
江戸時代に作製された日本最古の標本、ブータン国王から寄贈されたアゲハ蝶、そして昆虫学史上に名を連ねる研究
者たちのコレクションと、とても貴重なコレクションが概観できます。
昆虫博物館の裾野の広さと深さを体感できる1冊です。

「はじめに」(矢後勝也)より抜粋
「日本の昆虫学は東京大学に端を発し、様々な学術分野や研究機関に枝分かれして今に至ります。この学問の発展
には専門機関の研究者だけでなく、むしろ在野の研究者の貢献も大きいところです。その間、学術研究や教育普及の
ために収集され、本学に集積・寄贈されてきた昆虫標本も膨大な数に及びます。
 本特別展では、東京大学総合研究博物館に収蔵されている約70万点の昆虫標本のうち、日本の昆虫研究史の源流
ともいえる学術標本から現在に至るまで継続的に収集、研究されてきた秘蔵コレクション約55,711点を一挙公開しました。
 この中には約200年前の江戸時代に生きた本草学者・武蔵石寿の作製による日本最古の昆虫標本、近代養蚕学の
父・佐々木忠次郎やミツクリザメで知られる箕作佳吉の明治〜大正期の昆虫標本、昭和初期に採集された鳥類学者
の侯爵・山階芳麿やセミ博士と呼ばれた加藤正世の昆虫標本、ブータン国王陛下から贈呈されたブータンシボリアゲ
ハ、昆虫学史上に名を連ねる五十嵐邁、江田茂、須田孫七、濱雅彦、宮野浩二、白石浩次郎、石川良輔、尾本惠市、
岸田泰則などのコレクションが含まれます。
 これらの自然史遺産ともいえる貴重な昆虫標本を一堂に展示することで、いわば日本の昆虫博物誌を体感してもら
うことを一つの趣意としています。また、これを機に多様な昆虫史への幅広い興味や科学的な探究心を抱いてもらえ
たら幸いです。」

※本書は、2018年7月14日から10月14日まで東京大学総合研究博物館にて開催された同名の特別展示の公式図録です。
公式ウェブサイトはこちらです。http://www.um.u-tokyo.ac.jp/exhibition/2018konchu_description.html

<目次>

はじめに(矢後勝也)

第1章 江戸〜昭和初期(戦前)
 武蔵石寿――日本最古の昆虫標本の作製者(矢後勝也)
 佐々木忠次郎――近代養蚕学・農業害虫学の開祖(矢後勝也)
 箕作佳吉――日本人最初の動物学教授(矢後勝也)
 加藤正世――昆虫黄金期を築いたセミ博士(矢後勝也)
 山階芳麿――山階鳥類研究所の創立者(山崎剛史) 

第2章 昭和中期(戦後)〜平成
 五十嵐邁――蝶類幼生期研究の大家(矢後勝也) 
 江田 茂――国内有数の大収集家(矢後勝也) 
 須田孫七――日本のファーブル(須田真一)
 濱 正彦――信州の蝶聖(矢後勝也)
 宮野浩二――西多摩の博物学者(矢後勝也)
 白石浩次郎――平和・トンボ資料館館長(須田真一)
 石川良輔――ハチ・オサムシ研究の巨匠(矢後勝也)
 尾本惠市――二刀流の東京大学名誉教授(矢後勝也)
 岸田泰則――日本蛾類学会会長(矢後勝也)

第3章
 幻の大蝶「ブータンシボリアゲハ」――ブータン国王陛下からの贈呈標本(矢後勝也)
 昆虫――東京大学総合研究博物館データベース(矢後勝也)
 未来に向けて(矢後勝也)

第4章
 展示制作――立案から完成まで(矢後勝也)
 会場風景



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